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ちょっとニュースを思い出して思ったこと


 パラパラと2012年に発行された「アラビア語共同訳聖書 旧新約聖書続編付」( الكتاب المقدس الترجمة العربية المشتركة )をめくっていたら、そういえばマレーシアのニュースの続報を見ないなと思い、ちょっとクリスチャントゥデイを検索してみました。


マレーシア政府、聖書3万5千冊押収-内務相が釈明
2011年3月16日17時42分
https://www.christiantoday.co.jp/articles/6214/20110316/news.htm
"・・・
政府は、アラーを使用できるのはイスラム教徒に限られると主張。キリスト教の出版社がアラーを使えば、イスラム教徒に混乱をもたらすなどとしていた。
一方、カトリック教会側は、アラブ語のアラーはイスラム教の誕生前から使われていた言葉であり、イスラム教徒に使用が限定されないと反論。マレー語においても何世紀にもわたってアラーは神を意味する言葉として使われてきたとしている。
・・・"


マレーシア、非イスラム教徒への規制強化
2012年8月21日11時11分
https://www.christiantoday.co.jp/articles/10936/20120821/news.htm
"・・・マレーシアのイスラム宗教評議会が、非イスラム教徒が国内でイスラム教徒に自分の信仰を広めようとすることの禁止に乗り出した。国営ベルナマ通信が報じた。・・・"


マレーシア高裁もキリスト者の「アラー」使用禁止
2013年10月22日12時53分
https://www.christiantoday.co.jp/articles/12172/20131022/news.htm
"・・・【CJC=東京】マレーシア高裁は10月14日、4年前に出されていた下級審の判示を覆し、「アラー」という語をキリスト者が使用することを禁止した。・・・"


キリスト教系誌、マレーシア空港で一時差し押え
2013年11月5日07時02分
https://www.christiantoday.co.jp/articles/12211/20131105/news.htm


アラー使用禁止めぐり宗教間対立深刻化か マレーシア
2014年1月30日10時46分
https://www.christiantoday.co.jp/articles/12717/20140130/news.htm


州政府の指示を拒否、イスラム宗教局・委員会が押収した聖書を返還しないと発表 マレーシア
2014年6月19日11時15分
https://www.christiantoday.co.jp/articles/13535/20140619/malaysia-bible.htm


マレーシアの教会、最高裁への上告許可拒否に落胆 「アラー」呼称使用禁止判決で
2014年6月26日09時14分
https://www.christiantoday.co.jp/articles/13568/20140626/churches-malaysia-allah.htm
"マレーシアのキリスト教会は、同国のカトリック教会がその週刊紙「ヘラルド」で神の名をマレー語で「アラー」と呼ぶのを禁じる判決に対する上告を認めるよう求める申請を、最高裁に当たる連邦裁判所が却下したことに落胆している。
ヘラルド(英語電子版)は23日、7人からなる同裁判所の判事のうち4人がこの申請を却下し、その理由として控訴審がヘラルドで「アラー」の使用を禁じるのは正しかったからだとしたと報じた。
・・・"


「アラー」の呼称用いた聖書、押収から約10カ月後に返却 マレーシア
2014年11月17日19時13分
https://www.christiantoday.co.jp/articles/14582/20141117/allah-malaysia-bibles.htm


イスラム宗教評議会「聖書のマレー語翻訳は政府が行うべき」 教会が反発
2017年11月28日16時19分
https://www.christiantoday.co.jp/articles/24846/20171128/islam-malaysia-bible.htm


 これ以降の続報は報じられていません。クリスチャントゥデイ(日本語版)も社長などの異端疑惑の「クリスチャントゥデイ異端疑惑」で説明を求めた編集長以下従業員たちが解雇されてしまって、ニュース記事の質の低下と偏りが感じられるようになって、あまりこの手のニュースも出て来なくなりました。


クリスチャントゥデイ以外では

「アラー」の呼称めぐり対立 教会襲撃や放火 マレーシア
2010年1月23日(土)「しんぶん赤旗」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2010-01-23/2010012306_02_1.html


 これらの日本て報じられたニュース記事を時系列で読んでみると、なかなか根深いものがある感じがします。

 一番直近のニュースとしては「マレーシアマガジン – マレーシア移住のための情報サイト」というサイトの記事でしょうかね。

マレーシアマガジン – マレーシア移住のための情報サイト
2019-03-06  モンスーンの下で―マレーシアから見た東南アジア史 
 第35回 マレー語聖書はあるのか

 記事はマレー政府やイスラム側に立った内容なのはしょうがないですが、まだこの問題が解決をしないのはわかります。

 しかし、レバノン聖書協会で出版されているアラビア語訳の聖書をはじめとするアラビア語訳聖書などについて、他のイスラム圏の国々やイスラム教徒からマレーシアのような反応がないのは面白い現象です。クルアーン(コーラン)と同じアラビア語のアッラー(الله)では問題となっていないが、マレーシアでマレー語のラテン文字で書かれる「Allah」がダメでキリスト教徒は「Tuhan」を使えというのは(ジャウィ文字もダメなんだろうな)、なんともはやといった感じです。

 最初、このニュースを見た時にマレー語訳の聖書でアッラーの部分はアラビア語で表記されているのかと思いましたが、マレーシアの聖書協会のフリーダウンロードの画像を見たらラテン文字表記だったのでガックリしました。

Indjil-Jonnes-High-Malay-1932-page-1-re_NEW マレー語訳聖書ヨハネ1-
(画像:マレーシア聖書協会のフリーダウンロードのOld Malay Bible Translationsのヨハネ福音書の冒頭部分です)

 これがダメでアラビア語圏でアラビア語訳聖書が問題がない不思議。

ヨハネ1:1( الكتاب المقدس الترجمة العربية المشتركة )
(画像:レバノン聖書協会発行の「アラビア語共同訳聖書続編付」(GNA060DC、2012年)のヨハネ1:1です)

アラビア語共同訳聖書のヨハネ1:1の
 فِي الْبَدْءِ كَانَ الْكَلِمَةُ، وَالْكَلِمَةُ كَانَ عِنْدَ اللهِ. وَكَانَ الْكَلِمَةُ اللهُ.
をGoogle翻訳で訳してみると
 初めにみことばがあり、みことばは神と共にありました。 その言葉は神でした。
とちゃんとした訳文が出てきました。

 このニュースを見てもう一つ思ったことは、最近のロシアとロシア正教会と似ているとも感じました。

ロシアで伝道規制法成立、旧ソ連時代の恐怖再来か 数千教会が反対の断食祈祷会
2016年7月15日19時08分
https://www.christiantoday.co.jp/articles/21468/20160715/russia-banning-evangelism-law.htm


ロシアでバプテスト派ら3人が違法宣教で罰金
2016年9月6日06時32分
https://www.christiantoday.co.jp/articles/21947/20160906/russia.htm


ロシア、伝道規制法で教会指導者を逮捕 説教中に
2016年9月6日18時46分
https://www.christiantoday.co.jp/articles/21959/20160906/russia-banning-evangelism-law-first-arrest-christian-leader.htm


ロシアの「伝道規制法」施行から1年、玄関にトラクト貼って罰金科されるケースも
2017年8月17日11時40分
https://www.christiantoday.co.jp/articles/24300/20170817/russia-anti-evangelism-law-one-year.htm


ロシア下院に外国人の宗教活動禁じる法案 個人宅での祈祷会も禁止
2020年8月8日23時23分
https://www.christiantoday.co.jp/articles/28352/20200808/russia-to-ban-foreigners-to-practice-religious-activities.htm

「許可なく宣教活動した」 ロシアで有罪判決36件 2020年上半期
2020年9月2日17時41分
https://www.christiantoday.co.jp/articles/28451/20200902/russia-dozens-of-missionary-activity-convictions-in-2020.htm


 これもマレーシアと似ていて、マレーシアはイスラム教以外、キリスト教が布教されて広まるのがダメ。ロシアはプーチンや議会・政府などとべったりなロシア正教会に批判的であったり不利益になる他のキリスト教諸派(カトリックやプロテスタント)やキリスト教系新興カルト宗教(エホバの証人、モルモンなど)や異教・異教の新興カルト宗教などが広まって欲しくない。そのために政治権力者を利用して規制したり圧力を加えたり、よく似ているが、あまり利口ではない。キリスト教は迫害や圧力があるとより熱心に何十年何百年と飽くことなく布教する。かえって受け入れて安穏とさせて腐らせた方が彼らにとっては長期的には成功になるのだが、成長期に大量に教勢を失うのは痛いし、脅威に映るだろうなぁ。










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関連
クリスチャントゥデイ問題について韓国CBSテレビの報道
2014/10/31
https://www.youtube.com/watch?v=3OrZN7A_zAU

キリスト新聞

「クリスチャントゥデイ」めぐり新局面 日本基督教団総会議長が改めて声明 2018年2月1日
http://www.kirishin.com/2018/01/27/10665/

「クリスチャントゥデイ」従業員 中橋祐貴さん独占インタビュー 〝これまでの説明と食い違うことばかり〟 2018年3月1日
http://www.kirishin.com/2018/02/26/11129/

【速報】 「クリスチャントゥデイ」現役従業員が連名で声明 〝一翼担ってきたことをお詫び〟 2018年2月8日
http://www.kirishin.com/2018/02/09/10856/

【速報】 ウェスレアン・ホーリネス教団 クリスチャントゥデイ/ダビデ張関連団体から「距離を置く」と表明 2020年7月8日
http://www.kirishin.com/2020/07/08/43964/

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バルナバの福音書と策略の書


 さて、「バルナバの福音書」についてちょっと見て行きたいと思います。

 わたしがこの福音書を最初に知ったのは2003年のことです。キリスト教書店で「ムスリムのための30日の祈り」(https://www.pray30days.org/)という無料配布の小冊子が置いてあって、何気にいただいて読んで知ったという事です。以下にその個所を引用します。

ムスリムのための30日の祈り 2003年版 Athanasius記名


 その冊子の "ムスリムの観点:イエス様" のページで、"ムスリムはイエスは奇跡を行ったと言われる預言者だと考えていますが、彼らの多くはイエスの生涯と働きについての知識はほとんどありません。イエスは聖い人間として、ムスリムに高く尊敬されていますが、神性があるとは見ていません。近頃、多くのムスリムはムスリムであるイエスについての記録文書としていわゆるバルナバの福音書を強調しています。この記録は、イエスを過激なイスラム教徒として描いています。多くの者がこのバルナバの福音書がスペインに住んでいたムスリムによって1600年頃書かれたのではないかと信じていますが、パウロと同時代の弟子で書かれたのではないことは確かです。
 ムスリムはイエスは十字架上で死んでいないと主張しており、そのような死は素晴らしい良い預言者にふさわしくないと考えています。彼らはイエスが死なずに天国に上げられたと断言しています。彼らはイエスの代わりにイスカリオテのユダが苦しみを受けたと考えており、また神がユダの顔をイエスのように見えるように変えた、と想像しています。ユダはイエスが逃げている間、ただ罰を受けた裏切り者だと見られています。"

 とても短い記述ですが、当時、イスラームにおいてはそのような偽福音書が作られていたことに驚きました。以前、Yahoo!ブログの方で取り上げた時、この福音書については、日本語では2008年に書かれた個人ブログが一つあっただけでした。Wikipediaも英語版には記事があったものの日本語版には記事もなく、英語訳のThe Gospel of Barnabasはとても章数が多く機械翻訳利用してまで読もうとは思わなかったですね。

バルナバ福音書 Athanasius記名


 今はWikipediaも日本語でバルナバによる福音書として、写本などの情報が出ていますね。

 さて、先の小冊子にもあったイスカリオテのユダがイエスに代わって十字架にかけられる物語は、バルナバの福音書の214章から217章に出てきますが、同じような話は16世紀のバルナバの福音書よりもうちょっと古い、13世紀から14世紀初頭のものと思われる「رقايق الحلل فى دقايق الحيل 」(ラカーイク・アル・ヒラル・フィー・ダカーイク・アル=ヒヤル「繊細なる策略につつまれた薄布の外套」)というアラビヤ語の古文書に似た話が出てきます。

 この古文書の写本Arabe 3548 はフランス国立図書館に収蔵されています。以下にその図書館の当該写本のリンクを貼っておきます。

写本情報
http://archivesetmanuscrits.bnf.fr/ark:/12148/cc314442
写本はこちらで読めます
http://gallica.bnf.fr/ark:/12148/btv1b11003019c

 この文書はアラビア語のものは出版されることはありませんでしたが、ルネ・R・カーワンによってフランス語に翻訳されています。そのフランス語訳から日本語訳されたものが読売新聞社から「アラブ人の知恵の泉 策略の書」として出版されています。

 話を戻しまして、イスカリオテのユダがイエスに代わって十字架にかけられ、イエスは天に上げられる話の個所を引用してみましょう。

策略の書 Athanasius記名


"イエスの救出

神の叡智はイエス­­­を­­̶その上に恵みあらんことを­­­­­̶死より救うにおいても示された。至高の神は『聖典(ルビ:コーラン)』において、つぎのようにいわれた。イスラエルの子らにして《イエスがその不信を感知した》(コーラン、三章四五節)者たちは不信のゆえに策を弄し、その邪まであることを示した、と。この者らはイエス­­­­を­̶その上に恵みあらんことを­­­­­̶殺さんとして謀りごとをめぐらした。策略は目的に達さんがための最も精緻な方法である。《神は策を弄された。神は、目的に達さんがために策を用いる者の最もすぐれたる者である》(コーラン、三章四七節)。アル=ファッラーのいうところでは、「人のなす策のうちには、目的に達さんがための、いくつもの些細な行いによる選択がある」。至高の神は『聖典(ルビ:コーラン)』においていわれた。《わたしはその者らの気づかぬ方から暫時その者らを押しうごかすのである》。イブン=アッバースは右に引いたくだりについて、はっきりとこういっている。「いわんとするところは、これらの人間によって新しい行為がなされるたびに神もまた反対の行為によって答えられるということである」アル=ザジャージのいうところでは、「神の策略は、その者ら自身の策略への返報である。その者らの策略をうち消し無力にするための策略をだされるのである。とりわけ、聖典の先の節のばあいには、神が用いられた策というのは、策にかけられた者に、その者の殺さんと欲する者すなわちイエス­­­­­̶その上に恵みあらんことを­­­­­̶とそっくりの姿を与えることであった。裏切り者はかくして、十字架の責め苦を負うて殺され、イエスは天の方へと引き上げられたのである」
 事実はこうである。イエス­­­­は­̶その上に恵みあらんことを­­­­­̶その者らがイエスに対して策を用いんとしていたその夜、使徒らを集め、それぞれがこの地上のそれぞれの地方へいって、その地に信徒をすべて集めるようにと勧めた。それから、いった。
 「日の昇るより早く、おまえたちの一人がわたしを裏切り、銀貨数枚のためにわたしを売るであろう」
 使徒たちは集まってその場からいでて、散っていった。ユダヤ人たちはイエス­­­­を­̶その上に恵みあらんことを­­­­­̶見張るためにスパイどもを送りこんであった。使徒たちの一人がスパイどものもとにきて、いった。
 「もしわたしが救い主はどこにいるかをおまえたちに教え示したなら、何をわたしにくれるのか?」
 彼らは銀貨三十枚を約束した。男はそれをとって、いった。
 「ついて来い」
 一回はその男についてイエス­­­­の­̶その上に恵みあらんことを­­­­­̶ある家にいたった。そこに着くと、その者らはその使徒に向かっていった。
 「はいってイエスを呼び、われらにわたせ」
 男ははいった。それを見てイエスは尋ねた。
 「何を欲するのか?」
 男は答えた。
 「汝を」
 神はイエスをわが方へと引きあげ、イエスの似姿をイエスをつれに来た者にくだしおかれた。使徒はユダヤ人のもとにいって、イエス­­­­は­̶その上に恵みあらんことを­­­­­̶天の方へと引きあげられたことを知らせようとした。彼らは男の上にイエスの姿を見て、猶予をおかずその身柄をとらえた。男は一同に述べた。
 「わたしはイエスではない。イエスは天の方にひきあげられたのだ」
 「おまえだ、イエスよ」その者たちはいった。「おまえはわれわれから逃れようとしているのだ」
 「わたしはおまえたちにイエスの居場所を示した者だ」
 彼らはその言葉に耳を貸さず、イエスと信じて十字架にかけた。かくして神の策は、かの者らの策よりも強かったのである。"

(「アラブ人の知恵の泉 策略の書」 ルネ・R・カーワン編 小林茂訳 読売新聞社 pp.76-78)

 これはバルナバの福音書の記述と類似していて、さらにそれよりも古いものということですから、これがグラナダ陥落以前にヨーロッパに伝えられイベリア半島のムスリムの間で、イエスについてこのような理解があったのでしょう。




プロフィール

athanasius

Author:athanasius
当ブログにおいて、キリスト教関係の記事などにつきましては、あくまでもわたしの信仰や所属する教派・教会の教義的な私個人の立場から、わたしがおかしい、納得できない、ウソだろう、こうではないか、なとなどの批判・批評、否定、または合意、賛同などを書いています。また他宗教については個人的な感想として書いています。ある人にとってはとても不快に思ったり、反対意見もあると思います。その場合、広い心でお読みください。また、人の考え方は不変なものではありません。過去の発言と現在の発言が変わったりするのも自然なことですのでご留意ください。

 Yahoo!ブログからの引っ越し記事内のURLはリンク切れをしているものがあります(気が付いたらものからインターネットアーカイブに保存されているのならウェイバックマシンURLなどに修正などしております)。


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​一応、特に聖書の引用表記のないものにつきましては、著作権の保護期間を過ぎている日本聖書協会の「口語訳聖書」(1​955​年版の旧約聖書、19​54年版の新約聖書)を使用させていただいています。後の改定された口語訳聖書と違い、一般に差別用語や不快語とされていしまった言葉がそのままですのでご注意ください。

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