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漢訳聖書からの影響

漢訳

前に心の貧しい者の由来は?という記事で軽く触れましたが、1880(明治13)年に訳された「明治元訳新約全書」がありますが、これによって多くのキリスト教用語が生み出され、それ以降現在まで日本のキリスト教に定着していますが、明治元訳が影響を受けていたであろう1859年のブリッジマン=カルバートソン漢訳聖書(以降B=C訳と表記)や1814年のモリソン=ミルン訳(以下モリソン訳)の漢訳聖書の訳語をそのまま引き継いだものも多くあります。

ヨハネ福音書の冒頭などは比べて見るとわかりますが、B=C訳の影響だなぁと漢文が読めなくても分かります。

明治元訳 1880(明治13)年
1:1太初(はじめ)に道(ことば)あり道(ことば)は神と偕(とも)にあり道(ことば)ハ即(すなは)ち神なり
1:2この道(ことば)は太初(はじめ)に神と偕(とも)に在(あり)き

ブリッジマン=カルバートソン訳(裨治文, 克陛存 譯 (新約 1859年) )
1元始有道、道偕神、道卽神。
2是道元始偕神也。

モリソン=ミルン訳(馬禮遜、米憐 譯(新約 1814年))
1當始巳有言而其言偕神、又其言爲神、
2此者當始偕神也

四人組訳(馬禮遜譯本四人修訂版郭實臘譯本、モリソン=ミルン訳をモリソンの息子とメドハースト、ギュツラフ、ブリッジマンが故ロバート・モリソンの遺志を継いで改訂したもの。1835~58年)
1元始有道、其道興上帝共在、道卽乃上帝也。
2是道當始共上帝也。

和合本(新約 1906年)
1太初有道、道與 神同在、道就是 神。
2這道太初與 神同在。

大正改訳 1917年(大正6)年
1:1太初に言あり、言は神と偕にあり、言は神なりき。
1:2この言は太初に神とともに在り、

 明治元訳は本文がひらがな部分で漢字は当て字にすぎないので、「ことば」という訳語に日本人補佐人らによって漢訳からの「道」という当て字が付されているために、違和感が拭えませんが、それも大正改訳で見直されています。

 口語訳マタイ福音書を見て、キリスト教用語と思われるものを引き出し、それをモリソン訳、B=C訳、明治元訳、大正改訳、和合本と見比べて見ますと、訳語としてはB=C訳から受け継いでいる感じがします。

 イエス・キリストは、モリソン訳ですと「耶蘇基利士督(イェースー・ジーリーシードゥー)」となっていますが、これがB=C訳ですと「耶蘇基督(イェースー・ジードゥー)」となっていて、漢字部分はそのまま日本語訳に引き継いだ形です。

 モリソン訳はプネウマを「風」と訳していて、聖霊は「聖神風」、神の霊は「神之神風」と訳されています。B=C訳になりますと、聖霊は「聖靈」、神の霊は「神之靈」となっており、プネウマを「靈」と訳していて、明治元訳でも受け継がれています。

 預言者
モリソン訳「先知者」、B=C訳「預言者」

祭司
モリソン訳「舆祭者」、B=C訳「祭司」

洗礼・バプテスマ
モリソン訳「洗」、B=C訳「洗禮」

安息日
モリソン訳「●(口へんに撒)咟日」、B=C訳「安息日」

 漢訳聖書と比べて見ると、ああこれはそのまま引き継いでいるのか、こっちは日本での造語だな、などと見えてきて、なかなか面白いと感じます。

日本の聖書 現代中国語訳の聖書

モリソン訳やB=C訳などは台湾や香港あたりのサイトでPDFなんかをダウンロードするしかありませんが、とりあえず大正改訳とほぼ同じころに訳された和合本なんかでも一冊手もとにおいて眺めて見ると面白いでしょう。和合本は神を「神(シェン)」とする版(神版)と「上帝(シャンティ)」とする版(上帝版)の二種類があり、それぞれ台湾で使われる繁体字版と中国で使われる漢字を簡略化した簡体字と呼ばれるものにした簡体字版があり、日本聖書協会の直営店で買えます。

聖經 (和合本) 記名

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