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新世界訳聖書2019年改訂版


 エホバの証人のNew World Translation of the Holy Scripturesの2013年改訂版の日本語訳が今年の4月13日に発表され、寄付金と引き換えに頒布されました(「「あらゆる良い活動を行う用意が完全に整い」ました! 日本語の「新世界訳聖書」改訂版が発表される」)。また、公式サイトなどで読むことやPDFファイルなどでダウンロードできます(「「新世界訳聖書」(2019年改訂版) 聖書をオンラインで読む」)。

 その割に新世界訳聖書改訂版とか、新世界訳聖書2019年改訂版などで検索してみても、あまり反応がない感じです。エホバの証人自体が、95年の教義改訂以前のような元気で活発的なものではなくなり、落葉の団体みたいになっているように見えます。そのため以前ほど人目も引かず、脱会者などの反発もあまり目につかなくなっている気がします(たとえTwitterやFacebookで批判書き込みなどがあったとしても、所詮一過性の書込みで、遡って読み返されることはありませんから書き捨てみたいに思えます)。

 今回の新世界訳聖書2019年改訂版のマタイだけを読んだ感想として、相変わらずのエホバの証人の解釈や教義に沿った翻訳なのですが、1985年改訂版(底本は英訳1984年改訂版)までは字義直訳を売りにしていましたが、今回はエホバの証人の解釈や教義に沿った意訳、というか小説モドキ。キリスト教サイドで言うのなら尾山令仁氏の「現代訳聖書」や「創造主訳聖書」レベル。リビングバイブルも入れてしまうとリビングバイブルに失礼になるかな。

新世界訳 1984en,1985jp,2013en,2019jp URL

 雑誌を以て訪問伝道されるエホバの証人の方たちは、この新しい改訂版に対してやたらと絶賛しているのですが、それを引きつった笑みで聞きながら心の中では、「イヤイヤイヤ、それが本心ならヤバいぞ」と思いつつ「そうですか」と力なく相槌打ってました。

 まず、装丁は表装も小口もグレイです。手触りはいいです。本文の紙質は1985年版に比べて落ちている感じがします。安っぽい紙質です。底本の2013年英語改定版の方が紙質はいいですが日本語版はかなり落ちる感じです(そして、まとまりが悪い開いてから閉じた時、だらしなく少し広がったまま)。内容は、確かに字義直訳の出来損ないの前の1985年改訂版に比べたら、読みやすさという面では良くはなっているのでしょう。ただ原文から大きく逸脱しすぎてはいます。

 原語の訳し分けが無くなっている場合があり、彼らの教義的用語への置き換えもなされていて、この聖書(?)を読んで、ものみの塔聖書冊子協会の出版物を通して学ぶと、今までのように自分で過ちに気づくとかキリスト教サイドの論駁書読んで気づくというのは難しくなるように感じました。

 山上の垂訓の冒頭などは原語の影も形も無くなっています。

"3 「神の導きが必要であることを自覚している人たちは幸福です。天の王国はその人たちのものだからです。"

 マカリオイ、ホイ、プトーコイ、プネウマティ。の各語を語意の中で拡大解釈して、そして類似する別な語に置き換えたり、語意にはないがこうではないかと解釈して訳語を作ったりした結果が、この創作文になった感じです。

 また、「聖霊」という訳語をすべて、彼らの独自解釈に従った訳語「聖なる力」に置き換え、聖霊を無人格な単なるエネルギーやパワーといったものにしてしまいました。そのために

マタイ28章
"19 それで,行って,全ての国の人々を弟子としなさい。父と子と聖なる力の名によってバプテスマを施し"

ヨハネ14章
"16 私は天の父にお願いします。父は別の援助者を与えて,あなたたちと共に永久にいるようにしてくださいます。 17 それは真理を伝える聖なる力です。"

のようなおかしな訳文になっている個所も出てきています。

 まあ、この聖書は、エホバの証人やその学びをしている人、また彼らを批判・論駁する人でもない限り必要のないものかな。

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