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数珠と定式文での連祷 3

 1599年出版の英語訳のジュネーブ聖書からマタイ福音書6:7のμὴ βατταλογήσητεが、 repetition(繰り返し、反復、重複、折り返し、反覆、繰り言、繰言、二言)という風に訳されるようになり、英国の非国教徒(カルヴァン主義)に歓迎され、田川建三氏の「書物としての新約聖書」によけば、ジェームズ王欽定英語訳が出版されたのちも60版以上も版を重ねたそうです。1611年に欽定英語訳が出るまでに120版以上、欽定英語訳が出版されてから60版以上ですから人気があったのがわかります。そして欽定英語訳の多くの部分がジュネーブ聖書から来ているということで、欽定英語訳が広く普及し19世紀に聖書の本文批評版が出版され、それから改訂訳(Revised Version)が翻訳出版されるまで260年以上英語訳聖書では欽定英語訳が支配していました。

 このマタイ福音書6:7もジュネーブ聖書からジェームズ王欽定英語訳と、訳語とそれに付いた語意は継承され、19世紀以降いろいろな訳が出版されるようになっても、長年親しまれ人気の衰えない欽定英語訳は英国やアメリカで愛用され続け、その亜流の英訳聖書においては欽定英語訳の呪縛によって無批判的に継承されているように感じられます。

 19世紀に聖書の本文批評が発展し、批評版本文の普及とそれに伴う学問的翻訳とは逆行したジェームズ王欽定英語訳とビザンチン本文、テクストゥス・レセプトゥスの優位性を信じ、批評版テキストへの不信を持つ人たちの King James Only movement などアメリカなどの福音派や聖霊派などの原理主義系でこの回帰運動やその傾向は強いようです(日本でも聖霊派などでその手のホームページが見かけられます)。

 日本語訳聖書でリベラル系で使われる聖書協会発行の口語訳・新共同訳・聖書協会共同訳などと福音派や聖霊派系の新改訳で訳語が違う場合、訳語のルーツを見て行くと面白いかもしれません。どちらを好むかは自分の所属教会に合わせるなり、人それぞれ好き好きで。

 さて話を、祈りの為の数珠を用いて短い定式文の祈りを繰り返すということに戻しますと、repetition(繰り返し、反復、重複、折り返し、反覆、繰り言、繰言、二言)という風な訳はもともとの語意では無いように思います。また、リベラル系の訳のように「異邦人のようにくどくどと述べ」るや「ベラベラしゃべる」の方が、メソポタミアやエジプト、パレスチナやシリア、ギリシャ・ローマの宗教や碑文、公文書などに見られる王や神々を仰々しくいろいろな敬称や尊称を並び立て、くどいほど褒め称えることに合致するように感じられます。それらはマントラのように同じ言葉の繰り返しではなく、同じ言葉を使わないで数多くの言葉を持って(言葉数が多い)褒め称えることをイエスはこの個所でのことばは指しているのではないかと思います。

 聖母マリア崇敬云々もロザリオでの祈りの対象がマリアに向けられているローマ・カトリック教会には当てはまるかもしれませんが、もう一方のキリスト教、東方正教会や東方正統教会(非カルケドン)とでは、祈りの時に使う数珠(コンポスキニオン)のメインとなる小珠では「イイススの祈り」を祈り、大珠の時に「至聖生神女讃歌(カトリックの「天使祝詞」)」もしくは「常に福(さいわい)にして」が来るという違いも見られます。画一的にマリア崇敬というのも違うと思います。

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