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アブラハムの書


以前Yahoo!ブログに2012/2/23(木) 午後 9:20と2012/2/25(土) 午前 11:25にアップしたものを、こちらに再掲(一部修正して)します。

モルモン教の標準聖典のひとつに「高価なる真珠」がありますが、その中にジョセフ・スミスが1835年の夏にマイケル・チャンドラーなる人物より、エジプトのミイラ四体とパピルスを購入しました(もちろん信者たちから集めた献金によって)。

 ジョセフ・スミスはこのパピルスを見て、一つはアブラハムが書いたものであり、もう一つはヤコブの子ヨセフが書いたものであると言い、このパピルスの翻訳にとりかかりました。この書は『1842年3月から教会の出版物「タイムズ・アンド・シーズン」紙上にて、一度に幾らかづつ抜粋として発表』され、1844年に出版されました。

 ジョセフ・スミスがどのように翻訳したかはわかっていないとされていますが、一説には自著「エジプト語のアルファベットと文法」を使用したとも言われていますが、この著書の内容は全くのでたらめであることが知られています。現在はモルモン教会によって発禁になっています。このようなことのせいもあり、一般には霊感によって翻訳されたというふうに信じられているといいます。

このパピルスはジョセフの死後売却され、シカゴの大火で焼失したと言われていましたが、奇しくもメトロポリタン美術館に保管されていました。このパピルスは1967年にモルモン教会に返還されています。

 多くの学者がこのパピルスを調べましたが、ジョセフの書いた「アブラハムの書」などではなく、エジプトの「死者の書」の一部であることが調べた多くの学者の一致した見解でした。このことはNew York TimesでもMuseum Walls Proclaim Fraud of Mormon Prophet(美術館の防壁、モルモンの予言者の詐欺を宣言する)との見出し記事で詳しく伝えました(こちらでNew York Timesのその記事は読めます。 http://utlm.org/onlineresources/nytimes1912papyrus.htm)。

関連:Joseph Smith, Jr., as a translator : reprint of an inquiry conducted  pp.23-31

パピルスは1967年にモルモン教会に返還


The New York Times Sunday, December 29, 1912 全


一番初めの画像は、アブラハムの書のから採録された写しであるとされています。この絵の説明として、1、主の天使。2、祭壇上に縛られたアブラハム。3、アブラハムを犠牲に供えんとする、エルケナの神を拝む偶像崇拝教の祭司。4、エルケナの神、リブナの神、マーマクラーの神、コラシの神、パロの前に立つ偶像崇拝教の祭司たちが、これらの神に犠牲を供える祭壇。5、偶像崇拝教の神、エルケナ。6、偶像崇拝教の神、リブナ。7、偶像崇拝教の神、マーマクラー。8、偶像崇拝教の神、コラシ。9、偶像崇拝教の神、パロ。10、エジプトにおけるアブラハム。以下省略。

アブラハムの書 挿絵一


 まあ、まだシャンポリオンによってロゼッタストーンが解読され、1832年にシャンポリオンが42歳という若さで亡くなった後に、その兄がその遺稿をまとめ、1837年に「エジプト語文法」と「エジプト語辞典」が出版されていましたが、そんなものは一般の人にはわかるはずもなく、今とは違いエジプトについての知識は皆無ともいえる時代ですから、このようなことを書いても信じてしまったのでしょう。

アブラハムの書 挿絵一の原図と学術的復元図


上の画像のパピルスが、「アブラハムの書」のパピルスですが、「アブラハムの書」に載せられた写し絵は、このパピルスの欠損した部分をジョセフ・スミスの想像によって復元したとしていますが、普通は祭司の顔の部分は学術的復元図にありますようにアヌビス神の顔が来ます。

 また、ジョセフ・スミスが偶像崇拝教の神エルケナ、リブナ、マーマクラー、コラシとして説明したものは、ミイラを作る時死者の内臓を保管するカノプス壺で、ホルス神の四人の息子で、5は腸を保管する壺で、腸を守護する神で隼の姿をしたケベフセヌエフ神です。6は肝臓を守護する山犬の姿をしたドゥアムトエフ神を模った壺です。7は肺を守護するヒヒの姿をしたハピ神を模った壺です。8は胃を守護する人間の姿をしたイムセティ神を模った壺です。またこの祭壇と呼んでいる寝台は、オシリスの葬祭の寝台ですし、9も偶像崇拝教の神パロではなく、セベト神をあらわす神聖なワニです。

カノポス壺

 しかし、まだジョセフ・スミスの時代ならいざ知らず、現代社会で、それも翻訳の原典も残されているにもかかわらず、この書をモルモン教徒が信じているのにはおどろきます。信仰は盲目なりと言いますが、至言です。

さて、「アブラハムの書」に載せられたる第二の挿絵と続いて原図を見て行きたいと思います。

アブラハムの書 挿絵二


 この挿絵二は、「アブラハムの書」第三章を説明するもので、天父の最初の創造物である日の栄の中心にある惑星コロブについての記述で、ここにおいてかつて人間として歩まれ昇栄して神となった天父が、このコロブにおいて多くの妻たちの間に子をなし、第一の者イエス、第二の者ルシファー、やがて天父に逆らいサタンとなりたる者。またミカエルと呼ばれやがて地上で人間として生れアダムと呼ばれた者からはじまって、先在の全人類が天父と妻たちとの実の子として(霊体)存在している世界です。

モルモンの前世・来世


 このコロブでは地球での千年は一日にすぎません。このような空想話がモルモンの宇宙観であり、先在観、来世観で、天父は人として生れた子供たちが、イエス・キリストを信じ、罪を悔い改め、すべての儀式や義務を果たすならば、最後の審判の後、昇栄して日の栄の王国に入り、忠実ですべてを守り行った者は三層に分かれた日の栄の王国の中心へ行き、神の一人となり、自らコロブを創造し、天父と同じように多くの妻を持ち、多くの子らを設けます。そしてまた救いの計画を建てます。

アブラハムの書 挿絵二 原図


 しかし、この図はミイラの頭の下に置かれた円盤状の護符でヒュポケファルス(Hypocephalus)であることは知られたことです。さすがにモルモン教会もそれを無視できないのでしょう、インスティチュートテキストに『模写第2に描かれている図は、学者の間で‟hypocephalus(ヒポケパロス)”として知られる種類のもので、「頭の下または真下」という意味である。…ラーまたはホルス、すなわち太陽の目を象徴しており、そこに描かれている場面は、エジプト人の復活と死後の生活の概念を物語っている。」』と学術的な意見を取り入れていますが、そこから自分たちの宇宙観に繋げようともしています。

 『もし上述の説明のようにhypocephalusが神の目を表しているとするなら、そこに描かれるものは何であろうか。わたしたちは神の関心や注意が、御自身の子らの不死不滅と永遠の命をもたらすことに注がれていると知っている(モーセ1:39参照)。したがって、アブラハムの模写第2に描かれている神の目の象徴的な絵が、この神のすべての子供たちにとって大いなる希望を表していることは不思議ではない。』とこじつけます。

ルーブル美術館に収蔵されているイレトホルルウのヒュポケファルス


 ルーブル美術館に収蔵されているこのイレトホルルウのヒュポケファルスを見ると、まったくそっくりの図柄で、アブラハムなどとは全くの関係がない、エジプト人の宗教観からくるものであることがわかります。



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