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白い肌と黒い肌


 モルモン教では、“『モルモン書』には,ユダヤの王ゼデキヤの治世中,ユダヤがネブカデネザル王に征服されてバビロンの捕囚がまさに始まろうとする紀元600年に,エルサレムを出たヨセフの部族から成るイスラエル人のある移民団の歴史が載っている。この移民団は神の導きによってアメリカ大陸へ渡り,そこで人口に富む偉大な国民に発展した。しかし争いを起こして分裂し、ニーファイ人とレーマン人の二つの国民に分かれて相対した。ニーファイ人は勤勉と精巧な技を養い,歴史と聖文とあわせ記した記録を保存したが,レーマン人は堕落して低俗な民となった。しかし、このニーファイ人は紀元400年ごろに全滅してしまった。けれども,レーマン人は野蛮未開の状態のまま生き残り,現在アメリカインディアンとしてアメリカの地に住んでいる。”(「キリスト・イエス」 ジェームズ・E・タルメージ著 p48)と、北・中・南のアメリカの先住民族であるパレオ・インディアンやインディオたちを見ています。

 また、モルモン書では前2500年ごろのバベルの塔の時代にこの大陸に渡って来て繁栄したが、やがて内乱により全滅したヤレドの民というものも出てきます。そして、前600年ごろに渡米して来たリーハイとその子孫であるニーファイ人とレーマン人があり、その内レーマン人だけが生き残り先住アメリカ人となったとしています。すなわち先住アメリカ人はイスラエルの子孫であると言っています。先住アメリカ人の皮膚の色が黒いのは神の呪いであるとも考えています。

 そのことは『モルモン書』のニーファイ第二書5章21節にこのようにあります。

“そして主はかれらの罪悪のために、あののろいをかれらに襲い来たらせたもうたが、それはまことに恐ろしいのろいであった。ごらん、これはかれらが主に対してその心をかたくなにして、あたかもひうちいしのように堅くなってしまったからである。それであるから主なる神は、かれらが始め皮膚が白くて非常に美しく人目に楽しい者であったから、私の民がこれに心を奪われないようにその皮膚を黒くならせたもうた。”

 また、この逆も起こったりしています。ニーファイ第三書2章14節、15節にの様に書かれています。

“14 ニーファイ人と聨合をしたレーマン人はニーファイ人の中に数えられ、 15 そののろいが除き去られてニーファイ人のような白い皮膚となった。”

 そして、アメリカ先住民がモンゴロイドであり、イスラエル人(ヘブライ人)の子孫ではないと批判を受けると、血統的イスラエル民族とはまさにモンゴロイドであり、それはモルモン書の真実性を裏付ける証拠にはなっても、否定する材料にはならないとする方などがSNSなどでは見受けられることもあります。

「DNAが解き明かす 人類の旅」 2008年10月05日放送 1

 これは大きなごまかしであり、現在の考古学等では約2万年前にアジアやシベリアを経由したモンゴロイドたちは、ベーリング陸橋(約3万年前~1万3000年前)に入るもアラスカの氷河に阻まれ、シベリアで数千年を過ごし、ベーリング陸橋が融けるに従い海伝いに1万数千年前にアメリカ大陸に進出したと考えられています(NHK サイエンスゼロ シリーズ ヒトの謎に迫る(1)「DNAが解き明かす 人類の旅」 2008年10月05日放送)。

「DNAが解き明かす 人類の旅」 2008年10月05日放送 2

 このことはY染色体のハプログループやミトコンドリアDNAハプログループの動向からも分かります。

ハプログループ

ユダヤ人(40前後)や中近東の人たちのハプログループはJ
(ユダヤ人(40%前後)や中近東の人たちのハプログループはJ)

ユダヤ人(40前後)や中近東の人たちのハプログループはJ

 これらの事を見て行くと、モルモンの説は真っ向から否定されるものです。今から2600年ほど昔にイスラエルから渡来した云々は全く馬鹿げたことです。彼らと先住アメリカ人は遺伝的にも遠く隔たっています。民族的にも、遺伝的にも、また先住民族の考古学的な発見も「モルモン書」を支持するもの何一つとして無いだけでなく、否定されています。

 モルモン教はこの独自の教義ともう一つの見解により、教会内において人種的な壁や差別というものを長い間抱えていました。彼らが聖典の一つ(モルモン教では「聖書」、「モルモン書」「教義と聖約」「高価な真珠」の四つを聖典としている)としている「高価な真珠」の中のアブラハムの書の1章にはこのようにあります。

"21 さてのエジプトの王は、ハムの子孫より生れしすえにして、素性によればカナン人の血統を引きたる者なり。 22 この子孫より、すべてのエジプト人出でたり。されば、カナン人の血統はこの地に保存せられたり。 23 エジプトの地始めて一人の女よりて発見せられしがこの女はハムの娘にしてエジプタスの娘なりき。エジプタス(Egyptus)とは、カルデヤ語にてエジプトを表し、これはまた禁ぜられしものなる意(こころ)なり。 24 この女がエジプトの地を発見せし時、そは水の下にありたれど、後にこの女はその息子らをこの地に定住せしめたり。かくて、咀(のろ)いをその地に留めたるかの種族はハムより出で来りたり。 25 さてエジプトの最初の政府は、ハムの娘なるエジプタスの長男パロ(Pharaoh)によりて樹(た)てられ、そはハムの政府の慣しによりて族長政治なりき。 26 パロは義人なりければ、その王国を打ち建てて、生涯その民を賢明且つ公平に審(さば)き、最初の世代、すなわち最初の族長統治の時代に於ける先祖によりて樹てられたる制度にならわんことを熱心に努めたり。その制度とは、アダムの統治およびノアの統治の時代に於けるものにして、ノアは彼の先祖にして彼を地の祝福と智恵の祝福とをもて祝したれど、神権に就きては彼を咀いたり。 27 さてパロは神権の権能を受くる能(あた)わざる血統なりしが、然もなおパロの一族はハムによりてノアよりその権能を受けたるふりをせり。この故に、わが父は彼らの偶像礼拝に誤られたり。"

 これが彼らが教会において神権(神の権威と権能、人の救いのために必要なもので男性会員にのみ授けられる。メルキゼデク神権(大神権)とアロン神権(小神権)の二種類があるとされている。モルモン独自のもの)を授けられることにおいて、人種の壁がありましたが、1978年に当時の大管長(モルモン教会では預言者)スペンサー・W・キンボールに与えられたとする啓示が、「教義と聖約」の最後に収録されている「公式の宣言二」になりますが、それによってやっと神権や職への聖任ということにおいて差別の撤廃が、神からの啓示という形を持って宣告されました。モルモン教会における白い肌は神の祝福、黒い肌は神の呪いで神権を受けることのできない血統というものは表面的には消えたのでしょう。七十人という幹部地位に現在黒人やアジア人も見られるようにはなりました。しかし、1830年から公式の宣言が出される1978年までの長い期間に渡るあり方は、長く世代に渉って居る人間を無意識に拘束し続けるのはあり得る事でしょう(以前の(1995年に聖典の日本語訳改訂版が出る以前のもの)「教義と聖約 高價なる眞珠」には(合本版も)、この公式の宣言二は載せられていません。この公式の宣言より以前の翻訳のためでしょう。しかし、公式の宣言が出されてから翻訳して、つけ加えて出版をすればいいだけだとも思います。)。

2014/11/2(日) 午後 1:46にYahoo!ブログにアップしたもの(一部分追加)


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