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聖書協会共同訳 2


聖書協会共同訳旧約続編付き Athanasius


 駆け足で新しく出た聖書協会共同訳聖書を見ていってます。正直、新共同訳の悪いところはそのままで、おかしな箇所が増えたという感じです。

 まず用語として

 聖書協会共同訳の巻末の用語解説にこうあります。

"キリスト ヘブライ語のメシア(油を注がれた者)のギリシャ語訳。ペトロの信仰告白「あなたはメシア(キリスト)」(マタイ16:16)のように、イエスの信仰的呼称となる(ヨハ17:3、使2:38、ロマ1:4)。なお、本訳ではギリシャ語校訂本(ネストレ=アーラント『ギリシア語新約聖書(第28版)』)で「クリストス」が大文字の場合は「キリスト」、小文字の場合は「メシア」と訳出している。ただしマタ1:16とヨハ4:25は例外。"
(用語解説 p.28)

 新約聖書において、ギリシャ語でヘブライ語メシアの音訳「メシッアス」(Μεσσίας、STRONG'Sナンバー#3323)は、ヨハネ福音書1:41、4:25の二箇所しか使われていません。それ以外はヘブライ語メシアのギリシャ語訳「クリストス」(キリスト、Χριστός、STRONG'Sナンバー#5547)が使われています。

 そして、この用語解説にて、"本訳ではギリシャ語校訂本(ネストレ=アーラント『ギリシア語新約聖書(第28版)』)"とネストレ校訂本が出て来ました。

 この聖書協会共同訳の新約の底本は、世界聖書協会連盟「ギリシャ語新約聖書」第五修正版(UBS版)ですが、翻訳するにあたって異文批評欄のあるネストレ校訂本を使うのは当然のことです(本来ならこちらを底本にすべき。本文批評をする能力のない人たちが単純化したギリシャ語の底本を欲し、そして作られたのが世界聖書協会連盟版の本文。残念なことに日本聖書協会の学者たちはこちらを底本に欲した)。

ubs4 Nestle27


 その中で、「キリスト」と言う語は形容詞でありますが、固有名詞的用法で語頭のXが大文字化されて使われてもいます。しかし、イエスの信仰的呼称(形容詞)と翻訳委員によって判断される箇所において、UBS版では固有名詞的用法で大文字Χριστόςが使われているので使用せず(ネストレ27版とUBS第四版で確認)、ネストレ版では形容詞χριστὸςと小文字表記になっているのでこれを根拠として、日本語で訳し訳ができないのでメシアと言う語に置き換えて訳したという事でしょう。

 これはカトリックの用例に従ったのでしょう。聖書協会の聖書は、口語訳聖書まではプロテスタントだけによる翻訳ですのでそのまま大文字も小文字も共に「キリスト」と訳されていました。カトリックでもラテン語訳ウルガタから訳されたラゲ訳やバルバロ訳なども「キリスト」と訳していましたが、UBS第三版を底本としたフランシスコ会聖書研究所訳はこの置き換えをしました(1980年の初版は持っていませんし、それ以前の分冊版でもそうなっていたかは分かりません)。ただカトリックとプロテスタントによる1978年の共同訳新約聖書において、すでにこの置き換えがなされていました。共同訳、新共同訳、聖書協会共同訳パイロット版、聖書協会共同訳とカトリックとプロテスタントの共同翻訳においてこの置き換えは定着してしまっています。

 ネストレがどういう意図で区別したかは分かりませんが(序文にも異文批評欄にも説明はない)、当然のことながらアンシャル体写本(大文字写本)でそんな区別はありません。キリストと書いているのだからそのままキリストと訳せばよいと感じます。それにそんなにこだわるのなら、今までの聖書協会発行の聖書と違い、聖書協会共同訳からは欄外に簡単な注を付けているのですから、そこに小文字大文字の別を書き込めばいいだけだと思います。わざわざ別な語に置き換える方が問題だと思います。

 次に、

"兄弟(きょうだい) 家族や親族、同国人など普通の意味で使われる場合もあるが(詩22:23、122:8、マタ4:18、7:3、ロマ9:3)、新約聖書における最も多い用法は、キリストを信じる者が互いに兄弟(女性は姉妹)と呼び合って、会衆(教会)の中の深い人格的な結び付きを表明する場合である(ロマ1:13)。今回の翻訳では、新約聖書において、明らかに男性を指す場合以外は「きょうだい」という表記を用いた。"
(用語解説 pp.27-28)

 こういう訳し分けは必要が無いです。そんなものは普通に中学までの国語能力有れば理解できます。それに平仮名表記される方が読み辛い。スコポス理論と言うのなら朗読のしやすさも考慮すべきです(「蝮」を「毒蛇」としたのはよいとして、読みとして「どくじゃ」では語感が悪いし、朗読しづらい)。

 "規定の病(きていのやまい) 旧約聖書のヘブライ語「ツァラト」、新約聖書のギリシャ語「レプラ」レプラの訳語。七十人訳ギリシア語聖書が「ツァラト」を「レプラ」と訳し、新約聖書は「レプラ」を踏襲している。「ツァラト」はその語源も意味も明らかでない。「ツァラト」は祭儀的な汚れという観点から人や物について書かれている。人について用いられている場合には、何らかの皮膚の疾患を指すが、病理学的にはいかなる病気であったか明瞭ではない。レビ記13~14章に詳しい記述がある。「レプラ」も同じく祭儀的な汚れの意味で用いられ、その病の人々をイエスが清められたことが、奇跡的な出来事として記されている。(マコ1:40-45、ルカ17:11-19)。"
(用語解説 p.27)

 これが一番ひどい訳(?)です。聖書においても差別用語云々と言った馬鹿げたへ理屈が吹き荒れ、口語訳、新共同訳からいくつかの語が別な語や表現に置き換えられました。その流れですが、 "病理学的にはいかなる病気であったか明瞭ではない" 古代の文書なんだからそんなことは当たり前で、語に差別的意味合いのあるのも当たり前。それを現代の社会や医療に合わせて細かく区分しようとしたり、差別的な表現をなくそうなんてするから、こんなバカげた翻訳モドキになる。翻訳できないなら新改訳みたいに音訳に留めておけばよいものを、無理して翻訳しようとして失敗したよい例。

つづく



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No title

規定の病はがっかりしたな。
重い皮膚病の方がまだまし。
兄弟もそうだなー。
教会にいない人は兄弟じゃ無いのか?とも言いたいですね。
エホバの証人並みのばかげた使い分けかなー。

聖書がなんか安っぽくないです?
ページの角も丸まっていないし。
数年後にボロボロになりそう。

Re: 一匹狼のまーくん へ

> 規定の病はがっかりしたな。
> 重い皮膚病の方がまだまし。

これは本当にひどいですね。普通に「らい病」でいいと思いますが、騒ぎ立てる人たちがいるので新共同訳の表現か、最悪音訳でも此れよりははるかにマシですね。

> 兄弟もそうだなー。
> 教会にいない人は兄弟じゃ無いのか?とも言いたいですね。
> エホバの証人並みのばかげた使い分けかなー。

これもパイロット版で見て、なんだこれって思いましたね、
修正もされずに本編にも持ち越されてしまいましたね。

> 聖書がなんか安っぽくないです?
> ページの角も丸まっていないし。
> 数年後にボロボロになりそう。

昔の口語訳などの厚紙クロス装の方がよかったですね。
新共同訳からやたらとビニールクロス装が多用され
聖書協会共同訳も初版だけこの装丁(口語訳に比べて薄い)で
量産やバリエーションはビニールクロス装になるかもしれませんね。
そして皮装はやたらと高いですし、長年使える感じじゃなくなりましたね。


No title

新世界訳にくわしいエホバの証人のMさんも
批評始めました。
でも、自分の聖書を棚に上げていますけどね。
早く日本語訳出してやという感じですけどねv-8

というか聖書協会共同訳は、礼拝で読まれるだけなら
いいかな、向上はしていないですけれど。
聖書研究に使う聖書では無いですね。

こりゃあ、30年後じゃなくもっと早くに次の版が
出そうな気がする。

Re: 一匹狼のまーくん さんへ

> 新世界訳にくわしいエホバの証人のMさんも
> 批評始めました。


見て見ました(笑)

まぁ、批判されてもしょうがないものを日本聖書協会は世に出したという事ですね。


> というか聖書協会共同訳は、礼拝で読まれるだけなら
> いいかな、向上はしていないですけれど。
> 聖書研究に使う聖書では無いですね。

過去、明治元訳、大正改訳、口語訳が批判を受けつつもしっかりしていたのは、日本の聖書学者のおかげではなく、その元となった明治元訳はAuthorized Version(ジェームズ王欽定訳)から、大正改訳はRevised Version(英改訂訳)、口語訳はRevised Standard Version(改訂標準訳)をほぼ底本にしているため、底本となったそれらの研究がしっかりしているために、日本語訳がそれほど逸脱せずに済んだのですが、共同訳聖書事業にはそういうしっかりとした元となるものが無いため、ナイダ理論の共同訳の失敗、突貫でつくられた新共同訳の変さ加減、そして、今回のスコポス理論の聖書協会共同訳の失敗につながっていますね。

> こりゃあ、30年後じゃなくもっと早くに次の版が
> 出そうな気がする。

共同訳の二の舞な感じがしますね。
家で使うなら新改訳2017と口語訳と文語訳でいいかもしれませんね。

Re: 内緒さんへ


人それぞれ好みがありますからね。

ソフトな感じで薦めるだけ薦めて見てもいいんじゃないですかね(笑)

***

まあ、異端の方たちは所属団体に対しての我がないわりに、対外的には頑固で意固地ですからね(笑)

***

わからないですね。全然、連絡もないですね。


プロフィール

athanasius

Author:athanasius
当ブログにおいて、キリスト教関係の記事などにつきましては、あくまでもわたしの信仰や所属する教派・教会の教義的な私個人の立場から、わたしがおかしい、納得できない、ウソだろう、こうではないか、なとなどの批判・批評、否定、または合意、賛同などを書いています。また他宗教については個人的な感想として書いています。ある人にとってはとても不快に思ったり、反対意見もあると思います。その場合、広い心でお読みください。また、人の考え方は不変なものではありません。過去の発言と現在の発言が変わったりするのも自然なことですのでご留意ください。

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​一応、特に聖書の引用表記のないものにつきましては、著作権の保護期間を過ぎている日本聖書協会の「口語訳聖書」(1​955​年版の旧約聖書、19​54年版の新約聖書)を使用させていただいています。後の改定された口語訳聖書と違い、一般に差別用語や不快語とされていしまった言葉がそのままですのでご注意ください。

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