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聖書協会共同訳 5


聖書協会共同訳旧約続編付き Athanasius


 さて、聖書協会共同訳も発売されてから日も経ち、早々に手に入れた人からまだ手に入れていない、また手に入れる予定もない人までいろいろですが、聖書協会共同訳についてまた少し見て行きたいと思います。

 この聖書、スコポス理論なるものを翻訳の基本原則としていますが、この理論はオランダ自由大学のローレンス・デ・ヴリース教授(Lourens de Vries 1955-)によって提唱されたもので、日本聖書協会が2018年12月15日に発行した「聖書 聖書協会共同訳について」という冊子の中で、次のように説明しています。

"「スコポス」とはギリシア語で「目標」を意味し、聖書翻訳理論では「対象読者」(聴衆)と「使用目的」(機能)を表します。対象読者を未信者とし、使用目的を伝道用とする場合(スコポスA)と、対象読者を高学歴の信者、使 用目的を礼拝用とする場合(スコポスB)では、おのずと翻訳原則も異なります。前者(スコポスA)では動的等価 訳が、後者(スコポスB)では逐語訳が適切です。スコポス理論は、このように、まず翻訳の「スコポス」を選択し、 そこから適切な翻訳方針を決定していこうとするものです。逆に言えば、スコポスをあらかじめ決定するなら、翻訳 理論をめぐって動的等価か逐語訳かという選択に関して揺れが生じるようなことはなくなるのです。"

 そして、同冊子は次のように続けています。

"共同訳事業推進計画諮問会議と「翻訳方針前文」

翻訳事業を開始するに先立ち、日本聖書協会は二〇〇八年六月六日の第一五二回理事会で「共同訳事業推進計画諮 問会議」(以下、「諮問会議」)の設置を決議し、国内三二教派・一団体に、各教派・団体を代表する議員の推薦をお 願いしました。これに対し一七教派・一団体が議員二一名を推薦してくださいました。この一七教派の信徒数は、当 時の日本国内のクリスチャン人口の七五・三パーセントに相当します(『キリスト教年鑑』二〇〇九年版による)。し たがって、諮問会議は日本のキリスト教会をほぼ代表しており、そこで出される答申は、日本の諸教会が求める聖書 を示すと言うことができます。 諮問会議では新翻訳事業がスコポス理論に従うことを提案し、新しい聖書翻訳ではいかなるスコポスを選択するか を議論しました。二〇〇九年一〇月六日に開催した最終回(第四回)諮問会議は、新しい翻訳聖書のスコポスが、「礼 拝での朗読にふさわしい、格調高く美しい日本語訳を目指す」ことであると採択し、そのことをまとめた「翻訳方針 前文」を日本聖書協会理事会に答申しました。同年一二月四日の聖書協会第一五八回理事評議員会はこの答申を承認 して、新翻訳事業の開始が決定しました。「翻訳方針前文」は本冊子の16-17頁に全文を掲載しています。"

 この聖書協会共同訳聖書はスコポス理論に立ち、次の翻訳方針のもとに翻訳されました。

"新しい聖書翻訳は、
(1)共同訳事業の延長とし、日本の教会の標準訳聖書となること、また、すべてのキリスト教会での使用を目指す。
(2)礼拝で用いることを主要な目的とする。そのため、礼拝での朗読にふさわしい、格調高く美しい日本語訳を目指す。
3)義務教育を終了した日本語能力を持つ人を対象とする。
(4)言語と文化の変化に対応し、将来にわたって日本語、日本文化の形成に貢献できることを目指す。
(5)この数十年における聖書学、翻訳学などの成果に基づき、原典に忠実な翻訳を目指す。底本として、旧約(BHQ)・新約(UBS第5版)・旧約続編(ゲッティンゲン版)など、最新の校訂本をできる限り使用する。
(6)文学類型の違いを訳出して原典の持つ力強さを伝達する努力はするが、聖書が神の言葉であることをわきまえ、統一性を保つ視点を失わないこととする。固有名詞や重要な神学用語については『新共同訳』のみならず、過去の諸翻訳も参考にして、最も適切な訳語を得るようにつとめる。
(7)その出版に際して、異読、ならびに地理  や文化背景などを説明する注、引照聖句、重要語句を解説する巻末解説、小見出し、章節、地図や年表、などの本文以外の部分は、できる限りさまざまな組み合わせを考え、読者のニーズに応える努力をする。"
(翻訳方針前文)

同じく日本聖書協会発行の「聖書 聖書協会共同訳(特徴と実例)」と言う冊子の中で、

"上述の「翻訳方針 前文」によると、諸教会の指導者は、教会の礼拝にふさ わしい聖書を求めています。そこで、この度の聖書翻訳 は、礼拝で朗読される聖書を目的(スコポス)としました。"

と端的に述べています。


 この中で、"諸教会の指導者"たちが、"教会の礼拝にふさ わしい聖書を求めてい"るとの事でありますが、こいつらがそういう聖書を求めたからと言って、"この一七教派の信徒数は、当 時の日本国内のクリスチャン人口の七五・三パーセントに相当"がそういう聖書を求めたことにはならないと思う。まず、本教会からそのような案件について各教区や教区の各個教会は一定の期間を設けて意見を聞かれたということ自体ないだろう。そして、聖書協会の認識は、なにかいろいろな教会の信徒側と乖離しているように思われる。

 たとえ、"教会の礼拝にふさ わしい聖書"であったとしても、信徒が家庭や教会で聖書を学ぶのに役に立たない、その訳文が果たして著者が書いたものと同じなのか、まったくかけ離れた意訳となっている可能性もあり、また誤訳、作文の類、教会の伝統的な教義に合わせて原文にはない語や文言を挿入して、文意を変えてしまっているものもある可能性が、"教会の礼拝にふさ わしい聖書"なるものには強く現れる可能性を感じてしまう。

 礼拝で使う聖書が欲しいのではなく、礼拝でも、学びでも、伝道でも、日々のみことばとしても使える聖書が欲しい。

 現在、マタイを読み終わり使徒言行録を読んでいるが、「はーっ!!」とため息が出るような訳文である。

 1978年に日本聖書協会は、ユージン・ナイダのDynamic and formal equivalence(動的等価法)という翻訳方針によって「共同訳聖書」を出し、大ごけした。そして、今ではホームページにも「共同訳聖書」については、まるでなかったかのように取り扱われている。外国の研究者の理論に飛びついて、やたらと宣伝しまくり、本人も招いて講演もしと、共同訳の二の舞のような感じもする。

 新共同訳は継続して出版されるし、聖書協会共同訳に切り替える必要ってあるのか?と思ってしまう。



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No title

久々に教会へ行きました。
聖書協会共同訳持って。

新改訳2017もそうですが
買っている人がいないです。
初版によくある、誤字脱字、訂正されることも
多かったからなのでしょうが、
新改訳はそんなに事件起きてないんでしょ

新約の訳者に西南学院の先生もいたはず、
なんだかなー。
訳し方に苦慮したというわりには
そっちの訳を選んだの?というのがあってね。

Re: 一匹狼のまーくん さんへ

> 久々に教会へ行きました。
> 聖書協会共同訳持って。
> 新改訳2017もそうですが
> 買っている人がいないです。

わたしの教会も牧師は、私と同じ聖書協会共同訳の続編付き持って来てましたね。
信徒では私くらいですね。


> 初版によくある、誤字脱字、訂正されることも
> 多かったからなのでしょうが、
> 新改訳はそんなに事件起きてないんでしょ

聖書協会の聖書は、新共同訳の例を見ても解る通り、
数年かけて修正がなされますね。
これは単に誤字脱字の訂正ではなく、翻訳の訂正ですね。
新しい発見や学説などに合わせて修正されたり、実際に
使われている中での修正がなされています。

新改訳聖書は、やっぱり出版社の商業ベースですし
専門の学者が討論したりして修正を検討するというのも
現実には難しいのでしょう。


教会が聖書協会共同訳に切り替わるのかは微妙ですね。
新改訳はあたらしい版が出れば古い版は絶版するので、
否も応もなく切り返せざる負えませんが、
日本聖書協会の新共同訳は継続して出版されますし、
取り急ぎ切り替える必要もないですからね。

プロフィール

athanasius

Author:athanasius
当ブログにおいて、キリスト教関係の記事などにつきましては、あくまでもわたしの信仰や所属する教派・教会の教義的な私個人の立場から、わたしがおかしい、納得できない、ウソだろう、こうではないか、なとなどの批判・批評、否定、または合意、賛同などを書いています。また他宗教については個人的な感想として書いています。ある人にとってはとても不快に思ったり、反対意見もあると思います。その場合、広い心でお読みください。また、人の考え方は不変なものではありません。過去の発言と現在の発言が変わったりするのも自然なことですのでご留意ください。

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